ドイツ・北欧には多くの英雄伝説があります。なかでも著名なのはニーベルンゲン伝説で、これには邦語文献も豊富にあります。ベーオウルフ関係でも多くの論文が書かれているようです。一方、ディートリヒ伝説に関する邦語文献は僅かしかありません。私の知る限り、重要な原典である『シズレクのサガ』の邦訳でさえ一部しか存在しないのです。完訳を出そう、という奇特な研究者&出版社は何処かにいないものでしょうか? なお、本ページのカナ表記は、主に各武器の掲載されている個々の参考文献に拠っており、統一されていません。念のため。
分類 | 名称 | 主な出典 | 概要 |
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神槍 | グングニル | ◇『シグルドリーヴァの歌』 ◇『エッダ』「詩語法」 etc. | 戦死者の父、軍勢の神オージン(オーディン)の所持する投げ槍。ロキがイーヴァルディの息子たちに作らせたもの。 |
神槌 | ミョッルニル | ◇『スリュムの歌』 ◇『エッダ』「ギュルヴィの惑わし」 etc. | 雷神ソール(トール)の所持する鉄槌。ロキの賭けにのったブロックとエイトリの兄弟が作ったもの。柄が短いのが玉に瑕。 |
魔剣 | ダーインスレイヴ | ◇『エッダ』「詩語法」 | 女神フレイヤの呪いによって永遠に闘い続ける運命となったデンマーク王ホグニが所持していた魔剣。鞘から抜かれると血を見るまで戻らないという。 |
宝剣 | レーヴァテイン | ◇『フィヨルスヴィズの歌』 | 巨人ファールバウディの息子で奸智に長けた神ロキが作り、スルトの妻シンモラが守っている剣。金色の雄鶏ヴィドフニルを死に至らしめる力がある。 |
分類 | 名称 | 主な出典 | 概要 |
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名剣 | グラム | ◇『レギンの歌』 ◇『ヴォルスンガ・サガ』 etc. | シグムンド王の息子、英雄シグルズの愛剣。シグルズはこの剣で巨龍ファーヴニルの心臓を刺し貫いた。鍛えたのはシグルズの養父であった鍛冶のレギン。 |
名剣 | リジル | ◇『ファーヴニルの歌』 ◇『ヴォルスンガ・サガ』 etc. | レギンもしくはシグルズがファーヴニルの心臓を切り取った際に用いた剣。『ノルナ=ゲストの話』によれば、レギンが鍛えたレギン自身の剣。 |
宝剣 | フロッティ | ◇『ファーヴニルの歌』 ◇『ヴォルスンガ・サガ』 etc. | シグルズがファーヴニルを殺して手に入れた宝物の一つ。元はファーヴニルの父フレイズマルのものか? |
名剣 | バルムンク | ◇『ニーベルンゲンの歌』 ◇『ヴォルムスの薔薇園』 | ジゲムント王の子、ニーデルラントの英雄ジーフリトの所持する剣。ジーフリトの謀殺後は、その首謀者であったトロネゲのハゲネのものとなる。 |
分類 | 名称 | 主な出典 | 概要 |
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名剣 | ミームング | ◇『ベルンのシズレクのサガ』 ◇『ヴォルムスの薔薇園』 etc. | 鍛冶師ウィーランドの鍛えた名剣で、のちに彼の息子ヴィテゲに与えられる。ヴィテゲはディートリヒとの一騎討ちでこれを用い、彼を打ち負かす。 |
名剣 | ナーゲルリング | ◇『ズィゲノート』 ◇『ベルンのシズレクのサガ』 etc. | 小人アルベリッヒが鍛え、巨人の夫婦グリムとヒルデが所持していた剣。小人を捕らえたベルンのディートリヒが手に入れ、後に彼の家臣ハイメに与えられる。 |
名剣 | ブルートガング | ◇『ベルンのシズレクのサガ』 | ディートリヒとの一騎討ちの際に折れてしまったハイメの剣。この一騎討ちの後、ハイメはディートリヒの配下となる。 |
名剣 | エッケザックス | ◇『エッケの歌』 ◇『ベルンのシズレクのサガ』 etc. | 小人アルベリッヒが鍛え、巨人エッケが所持していた剣。のちにエッケを倒したディートリヒのものとなる。 |
名剣 | ラーグルフ | ◇『ベルンのシズレクのサガ』 | シズレク(ディートリヒ)の武芸の師ヒルディブランドの剣。彼はこの剣でグンナルの弟ゲルノスを切り倒した。 |
分類 | 名称 | 主な出典 | 概要 |
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名剣 | ロッセ | ◇『オルトニート』? | ロンバルディアを支配する皇帝オトニトが小人エルベリヒを打ち負かし、その身代金として一揃いの甲冑、盾とともに手に入れた名剣。 |
分類 | 名称 | 主な出典 | 概要 |
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魔剣 | テュルヴィング | ◇『ヘルヴォルとヘイズレク王のサガ』 | オーディンの後裔スヴァフルラーメ王が二人の小人ドヴァーリンとドゥリンにつくらせた剣。抜かれるたびに一人の男に死をもたらす。 |
名剣 | レヴィ | ◇『ゲスタ・ダノールム』 | デンマーク王ロルブの妹ルータとインゲルの子アグネルとの結婚式の折、戦士達の乱暴狼藉からアグネルと決闘することになったビャルコが用いた長剣。これに勝利したビャルコは、のちにルータと結婚する。 |
名剣 | スニュルティル | ◇『ゲスタ・ダノールム』 | デンマーク王ロルブの義弟ビャルコが所持していたゲルマンの剣。ビャルコはこの剣で野生の鹿を刺し貫いた。 |
名剣 | へーキング | ◇『ゲスタ・ダノールム』 | インゲルの子アグネルがビャルコとの決闘で用いた剣。ビャルコに打ち込んだ際に折れてしまい、アグネルはこの戦いで命を落とした。 |
魔剣 | スクレープ | ◇『ゲスタ・ダノールム』 | デンマーク王ヴェルムンドが地中に埋めて隠しておいた剣。その息子ウッフォが、サクソーニアの王子らと決闘をした際に用いた。すでに錆びだらけになっていたが、敵二人をそれぞれ一撃で倒し、ウッフォに勝利をもたらした。 |
名剣 | リュシング | ◇『ゲスタ・ダノールム』 | ノルマン人の王レグナルドの見事な作りの剣。レグナルドの孫ハルダンは、デンマーク王家の唯一の生き残り、アールヴの娘グリータに求婚したが拒絶された。そこで、武勲を得ようと母ドロータからフィティングとともにこの剣を受け取った。 |
名剣 | フィティング | ◇『ゲスタ・ダノールム』 | ノルマン人の王レグナルドの見事な作りの剣。レグナルドの孫ハルダンは、グリータに求婚したが拒絶されたため、武勲を得ようと母からリュシングとともにこの剣を受け取った。のち、ロシアで武勲を得たハルダンはグリータと結婚した。 |
名剣 | レグティ | ◇『ゲスタ・ダノールム』 | デンマーク王ハラルドの妹とシーヴァルドの間の子オーロが、ヴェルミ侯オーラーヴの娘エーサの略奪にあらわれたスカートとヒャールの兄弟との決闘で用いた剣。決闘に勝利したオーロは、褒賞としてエーサと結婚した。 |
名剣 | フルンティング | ◇『ベーオウルフ』 | デネの王フロースガールの廷臣ウンフェルスが持っていた名剣。怪物グレンデルの母親を倒しに赴くイェーアトの勇士ベーオウルフに貸し与えられるが、まったく役に立たなかった。 |
名剣 | ネイリング | ◇『ベーオウルフ』 | イェーアトの王となったベーオウルフが、秘宝を守り国土を荒らす火竜と戦った際に用いた秘蔵の剣。戦いの最中、竜の頭に当たって砕け散り、竜に手傷を負わせることは出来なかった。 |
分類 | 名称 | 主な出典 | 概要 |
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名剣 | ラング | ◇『エギルのサガ』 | スカラグリームの長子ソーロールヴが、ヴィーンヘイズの会戦(スコットランドのオーラーヴ王とイングランドのアザルステイン王との一大決戦)において用いた剣。ソーロールヴはこの戦いの最中に倒れ、剣は彼の墓におさめられた。 |
名剣 | ナズ | ◇『エギルのサガ』 | スカラグリームの末子エギル(『エギルのサガ』の主人公)が、ヴィーンヘイズの会戦で用いた剣。クールランド遠征の折に手に入れたもので、その名は「まむし」を意味する。 |
名剣 | ドラグヴァンディル | ◇『エギルのサガ』 | 半巨人のハルビョルンの子、雄鮭のケティルが所持していた名剣。その子頬髯のグリーム、クヴェルドウールヴの長子ソーロールヴ、その弟スカラグリームの手を経て、ソーリルの子アリンビョルンのものとなり、彼からスカラグリームの子エギルに贈られた。 |
名剣 | スクリューミル | ◇『エギルのサガ』 | ソルステイン・エギルスソンと争った眼玉のオヌンドの息子ステイナルが、ラムバスタジルの下手の砂州でソルステインを待ち伏せた時に持っていた名剣。 |
スクリーミル | ◇『コルマクのサガ』 | オーヌンド・ショウニの息子ステイナルが所持していた剣。ソイル村のベルシとの決闘で使われた後、ステイナルの妹ダッラの息子コルマクに与えられた。 | |
名剣 | イェクルスナウト | ◇『グレッティルのサガ』 | 長髪のアースムンドの長子アトリが、弟のグレティル(『グレティルのサガ』の主人公)からもらいうけ、トーリルの息子たちに襲われた際にもちいた剣。 |
名剣 | カールスナウト | ◇『グレッティルのサガ』 | 長髪のアースムンドの子グレティル(『グレティルのサガ』の主人公)が釣針のトルビエルンとの戦いでもちいた短剣。グレティルが魔術によってつけられた傷によって死ぬと、トルビエルンはこの短剣を彼の手から奪ってその頸に斬りつけたため、刃の中央あたりが少しこぼれてしまった。 |
名剣 | "足咬み" | ◇『ラックサー谷の人びとのサガ』 | 孔雀のオーラーヴの娘スリーズが、夫、騒ぎのゲイルムンドから奪い、従兄弟のボリに贈った剣。ボリはこの剣で乳兄弟キャルタンを殺害した。ボリの死後、同名の息子ボリのものとなり、彼はこの剣でヘルガ・ハルズベインスソンを殺して父の仇を討った。 |
魔剣 | スコヴヌング | ◇『ラックサー谷の人びとのサガ』 | フロールヴ・クラキの墓塚から取り出された剣。エイズが所持していたものをソルケル・エイヨールヴスソンが借り受け、ソルケルの溺死後、彼の息子ゲリルのものとなった。この剣で受けた傷は、剣についている治癒石でこすらない限り決して治らないという。 |
名剣 名槍 | グラーシーザ | ◇『ギースリのサガ』 | ソルケルの子ギースリ(『ギースリのサガ』の主人公の伯父)が、兄アリの仇ビョルンと決闘する際、兄の妻の奴隷から奪った剣。決闘には勝利するが、剣を取り返そうとした奴隷を斬りつけた際、折れてしまう。のちに槍の穂に鍛えなおされ、甥のギースリ(同サガの主人公)のものとなる。 |
名剣 | グンロギ | ◇『ギースリのサガ』 | ギースリ(『ギースリのサガ』の主人公)の姉ソールディーズに求婚していた老人スケッギが所持していた剣。スケッギはのちにギースリに殺される。 |
名剣 | エッテタンゲ | ◇『みずうみ谷のサガ』 | ノルウェー商人ラヴンからトルステインの子インゲムンドが手に入れ、みずうみ谷の一族の間で非常な価値をおかれた宝刀。インゲムンドの死後、息子ヨクルのものとなった。 |
名剣 | ヴィーティング | ◇『コルマクのサガ』 | ソイル村の決闘家ベルシが持っていた剣。癒しの石がついていた。コルマクとの決闘で切っ先を折られるが、その後、ステイナルや歯軋りのソルケルとの決闘でも使われ、力持ちのソーラリンもこの剣で殺されている。また、ヴァーリ殺害の際には、ベルシの養子ハルドールがこれを用いた。 |
魔剣 | スコプヌング | ◇『コルマクのサガ』 | ミズフィヨルドのスケッギが所持していた剣。ベルシとの決闘に臨むためにコルマクが借り受けるが、スケッギの教えた通りの使い方をしなかったために魔力が消えてしまい、十分役に立たなかった。コルマクは決闘に負け、刃のこぼれた剣はスケッギに返された。「スコヴヌング」と同一の剣か。 |
名槍 | ヴィグ | ◇『コルマクのサガ』 | コルマクがステインゲルズと二人きりで杯を傾けていた時、コルマクが脱いだマントの留め金をある男が盗み、それに気が付いたコルマクがその男に投げつけた槍。しかし、槍は命中しなかった。 |
分類 | 名称 | 主な出典 | 概要 |
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名剣 | "挽臼切り" | ◇「ハーコン善王のサガ」 | アザルステインの養子、ノルウェーのハーコン王が、ハラルドが率いるエイリークの息子たちの軍勢と戦った時に所持していた剣。 |
名剣 | "足広" | ◇「ハーコン善王のサガ」 | ハーコン王が、ハラルド率いるエイリークの息子たちの軍勢と戦った時、そのそば近くで戦った強者ソーラールヴ・スコールムスソンが所持していた剣。 |
名矢 | フレイン | ◇「ハーコン善王のサガ」 | ハーコン王が、ハラルド率いるエイリークの息子たちの軍勢と戦った時、王に向かって射られ、その腕につき刺さった矢の呼び名。これが王の致命傷となった。 |
分類 | 名称 | 主な出典 | 概要 |
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宝剣 | グンフィエズル | ◇民話「名馬グトルファフシと 名剣グンフィエズル」 | ある巨人が名馬グトルファフシとともに秘蔵していた剣。この馬に乗り、この剣を携える者には幸いが訪れるという。巨人の娘ヘルガと仲良くなった、ある国の王子シグルドが馬とともに手に入れた。その名は「戦さの羽根飾り」を意味する。 |
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