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レーヴァテイン(Lævateinn

分類宝剣?
表記◇レーヴァテイン(ストレム, ホランド, 健部)
◇Lævateinn(ストレム), ◇Lævatein(健部)
語意・語源◇「裏切りにみてる枝」(ストレム), ◇「傷つける魔の杖」(ホランド), ◇「害なす魔の杖」(健部)
系統北欧神話
主な出典◇『フィヨルスヴィズの歌』(Fjlsvinnsmál
「エッダ詩」に分類される詩作品の一つ。ただし、王室写本には含まれず、17世紀の日付を持つ稿本にのみ伝存する。クロスリイ-ホランドによれば、他のエッダ詩よりも遅い13〜14世紀の成立。『グローアの呪文』(Gróugaldr)と呼ばれる別のエッダ詩が、内容的にこの詩の前に接続することから、多くの編者が両者を結合させており、この結合後の詩は『スヴィプダグの歌』(Svipdagsmál)と呼ばれる。歌謡旋法が用いられ、すべて直接話法で語られる。ホランドの再話によれば、ソルビャルトの息子スヴィプダーグ(スヴィプダグ)と巨人フィヨルスヴィド(フィヨルスヴィズ)との問答を主たる内容とする。(ホランド, グンネルほか)
参考文献 ◇V.G.ネッケルほか編(谷口幸男訳)『エッダ―古代北欧歌謡集』 新潮社, 1973.8
◇フォルケ・ストレム(菅原邦城訳)『古代北欧の宗教と神話』 人文書院, 1982.10
◇K.クロスリイ-ホランド(山室静, 米原まり子訳)『北欧神話物語』 青土社, 1991.9(1983.10初版)
◇菅原邦城 『北欧神話』 東京書籍, 1984.10
◇健部伸明と怪兵隊 『虚空の神々』 新紀元社, 1990.5
◇日本アイスランド学会編訳 『サガ選集』 東海大学出版会, 1991.5
◇Truth In Fantasy編集部 『魔法の道具屋』 新紀元社, 1992.11
◇『世界文学大事典』編集委員会編 『集英社 世界文学大事典1〜6』 集英社, 1996.10-1998.1
◇アクセル・オルリック(尾崎和彦訳)『北欧神話の世界 神々の死と復活』 青土社, 2003.11
◇森信嘉訳 『スカルド詩人のサガ コルマクのサガ/ハルフレズのサガ』 東海大学出版会, 2005.9
◇テリー・グンネル(伊藤盡訳)「エッダ詩(特集・北欧神話の世界)」 『ユリイカ』第39巻第12号, 2007.10


◆ロキの造った魔法の剣

巨人ファールバウディの息子ロキは、姿は美しいが、気まぐれで奸智に長けた神である。フォルケ・ストレムの『古代北欧の宗教と神話』(菅原邦城訳1982)は、このロキについて論じる中で、「レーヴァテイン」という名の魔法の剣に言及している。ロキが魔法の剣レーヴァテインを造ったというのである。当該箇所を以下に引用する(p.169, 原文では「レーヴァテイン」に傍点)。

すなわち、彼は「ヒュミルの歌」では「裏切りにたけたロキ」(inn lævísi Loki)と呼ばれ、また「フィヨルスヴィズの歌」では不鮮明な言い方で、ロキが冥界の門の下でルーンを彫って造った魔法の剣レーヴァテイン「裏切りにみてる枝」のことが述べられている。

『ヒュミルの歌』は谷口幸男訳の『エッダ―古代北欧歌謡集』(1973)に所収されているが、そこには確かに「これは奸智にたけたロキの仕業だった」という一節がある(p.79)。一方、肝心の『フィヨルスヴィズの歌』は、谷口訳の『エッダ』には収録されていない。ただし、「フィヨルスヴィズ」の名は、『グリームニルの歌』にオージンの別名として登場しており、「途方もなく賢いもの」の意であるとの注が付されている(p.56, 62)。


◆雄鶏ヴィドフニルを冥土に送り込む武器

菅原邦城の『北欧神話』(1984)には、「フィヨルスヴィズのことば」(Fjlsvinnsmál, おそらくは『フィヨルスヴィズの歌』と同一の詩)への言及が見られるが(p.40)、レーヴァテインの名は見えず、この歌の梗概に関する詳しい説明もない。一方、K.クロスリイ-ホランドの『北欧神話物語』(1983/1991訳)には、『スヴィプダーグのバラード』というタイトルで、このエッダ詩が再話されている※1。クロスリイ-ホランドによれば、この再話の原典『スヴィプダーグの歌』は、「実際には二つの詩、『グロアの呪文』と『フィヨルスヴィドのバラード』から成るが、それは明らかに一つの詩の前半と後半であることを示すので、大方の編者によって結合されてきた」という(同書所収「北欧神話ノート」p.317-318)。この『フィヨルスヴィドのバラード』が、『フィヨルスヴィズの歌』であることは間違いない。そこで、以下、ホランドの語る『スヴィプダーグの歌』のあらすじを追ってみよう。

スヴィプダーグという男が、父の後妻に「誰も無事には行くことのできない所へ行って、メングラッドの愛を得ること」(p.200)を命ぜられる。彼は死んだ実母の予言者グロアをニブルヘイムに訪ねて、九つのまじないを教えてもらう。その後、メングラッドを探して長い旅を続け、ある日、巨人の国ヨーツンヘイムに彼女の砦を見つける。しかし、門番フィヨルスヴィドは彼を砦に入らせない。そこでスヴィプダーグとフィヨルスヴィドとの問答が始まる。その問答の中に、砦の正面を守っている二匹の猟犬の話が出てくるのだが、門番によれば、二匹は交互に眠るため、彼らに気づかれずに砦に侵入することは不可能である。彼らの気を惹くのは、世界樹ユグドラシルの一番高い枝にとまっている「かすかに輝く黄金で飾られた雄鶏」「〈木の蛇〉ヴィドフニル」(p.203-204)の二枚の翼の肉のみ。つまり、砦に入るためには、雄鶏ヴィドフニルの肉が必要なのである。レーヴァテインが登場するのはこれに続く箇所。以下、ホランドから引用する(p.204-205)。なお、文中の「巨人」は、門番フィヨルスヴィドを指す。

「ヴィドフニルをさっさとヘルの家へ送りこむ武器は何だろうか?」とスヴィプダーグは尋ねました。
「それは〈傷つける魔の杖〉と呼ばれる剣のレーヴァテインだ。ロキがそれを作り、ニヴルヘイムの門の所でルーンを唱えて鍛えたのだ。それはレーギャルンの大箱の中にあり、九つの錠に守られて、シンモラが番をしている」と巨人が言いました。
「その剣を盗んで、傷も受けないで逃れることは、望めないものだろうか?」とスヴィプダーグが尋ねました。
「その剣を盗むことは望めるぞ。もしも誰にも手に入れられないようなものを、シンモラのために贈り物として持っていくならばだがね」とフィヨルスヴィドが答えました。
「あのやせた女巨人を喜ばせるために、持っていかなければならない宝物は、何だろうか?」とスヴィプダーグは聞きただしました。
「おまえの布袋の中に、ヴィドフニルの尾羽を入れて持っていけ。それをシンモラに与えれば、彼女は返礼として、おまえにレーヴァテインをくれるだろう」と巨人は言いました。

引用一行目「ヘルの家」はおそらく冥界を意味するので、ヴィドフニルを殺すためにはレーヴァテインが必要、ということである。そして、続けて語られるところによれば、そのレーヴァテインを手に入れるためにはヴィドフニルの尾羽が必要だという。とすると、砦に入るのは不可能ということになる。ホランドも「北欧神話ノート」で、「フィヨルスヴィドが言っていることは、択ばれた人間でなければその広間には入れぬということだ」と述べている(p.318)。結局、彼が砦には入れたのかどうかは…各自、本書を読んでいただきたい。

※1 : このクロスリイ-ホランドの再話は、どの程度原典に忠実なのだろうか。それを知る手がかりとして、先に挙げた菅原による部分訳と、ホランドの再話の該当部分を比較してみたい。まずは菅原による部分訳を引用する(菅原1984, p.41)。

私に語れ、フィヨルスヴィズよ
そなたに問うて
知りたくおもうことを。
なんと称するや、
その枝どもを国々すべてに
ひろげおる樹は。
 その名はミーマメイズなり、
これがいかなる根もとから発するか
知るひとはだれもなし。
気づくひとの大方なきものにより
これは倒れる、
これを火も鉄も倒さない。

  フィヨルスヴィズとスヴィプダグとの問答の一部である。そこで話題になっているのは、トネリコの樹ユッグドラシルで、ヴィドフニルが話題に上る手前の部分であると思われる。ホランドから同じ箇所を引用すると次のようになる(p.203)。

  スヴィプダーグは言いました。「さあ、わたしに話してくれ、フィヨルスヴィド。全世界の上に枝々を広げているあの樹は何と呼ばれている?」
  巨人は答えました。「それは〈ミーミルの樹〉ユグドラシルと呼ばれるんだ。生きている者は誰も、そのすべての根を見たことはない。また、ほとんどの者には、何がその樹を倒すのか見当をつけることもできないんだ。なにしろ、斧も火もこの樹の命とりにならないからな」

   〈ミーミルの樹〉を「ユグドラシル」と言い換えているのは、分かりやすくするためのホランドによる加筆だろうか。いずれにしても、この部分に関しては、比較的忠実に再話されているようである。


◆スルトの妻、女巨人シンマラ

さて、クロスリイ-ホランドの再話からはレーヴァテインに関して、先のストレムの記述よりも詳しい情報を得ることが出来る。ストレムの記述と重なるのは、ロキが冥界(二ヴルヘイム)の門の所で造った、という部分。「ルーンを彫って」(ストレム)と「ルーンを唱えて」(ホランド)では若干意味が異なるが、これは原語の解釈の相違だろうか。一方、新たに分かるのは、レーギャルンという箱の中で九つの錠に守られ、女巨人シンモラがその番をしている、という点である。シンモラについては、レーヴァテインが登場するすぐ前、ヴィドフニルについて語るフィヨルスヴィドの台詞の中に登場している(p.203-204)。

フィヨルスヴィドは答えました。「彼は〈木の蛇〉ヴィドフニルと呼ばれている。彼は稲妻のようにユグドラシルの枝々を照らしている。しかし、スルトとその妻のシンモラには、ただ悲しみしかもたらさないのだ」

スルトとは、燃えさかる剣を持ち、世界の終わりには、炎で全世界を焼き尽くすといわれる巨人である。健部伸明と怪兵隊の『虚空の神々』(1990)には、「スルトの妃であるシンマラは、レーヴァテイン(Lævatein-害なす魔の杖)という剣を保管していると書かれています。この剣はロキによって鍛えられました。もしかしたらこのレーヴァテンが、スルトのもつ炎の剣なのかもしれません」という記述がある(p.332)※2。この指摘は、後に大きく一人歩きをすることになるが、その詳細は後述の〈先行研究批判?〉を参照していただきたい。

※2 : 2006年2月10日付までの本ページには、「ホランドの『北欧神話物語』以外でこの武器の名を挙げている北欧神話の邦語文献を、私は健部伸明と怪兵隊の『虚空の神々』(1990)しか知らない」などと書かれていた。冒頭に挙げた通り、フォルケ・ストレムの『古代北欧の宗教と神話』に記述があり、索引に「レーヴァテイン」の名がしっかり載っているにも関わらず、である。素人(=私)はこれだから信用できない。この本の存在自体は以前から知っていたものの、私の通っていた大学図書館には所蔵されず、附属の短大図書館の書庫に入っていただけだったので、あまり気安く見られなかった、というのはもちろん言い訳である。その後、大学を変え、居住地も変えてしまったので、閲覧するのがますます難しくなってしまったのだが、2007年3月に西早稲田の古本屋で発見・購入。手元で自由に見ることが出来るようになって、ようやく索引にその名があることに気がついたのである。


◆投げ槍なレーヴァテイン

アクセル・オルリックの『北欧神話の世界』(尾崎和彦訳2003)は、スルトに関する記述の中で、女巨人シンマラ(Sinmara)及び『フィヨルスヴィズの言葉』(=『フィヨルスヴィズの歌』)に言及している。レーヴァテインの名は登場していないものの、それに関わる記述があるので、当該箇所を以下に引用したい(p.110)。

不可解な神話的問答詩『フィヨルスヴィズの言葉』では、スルトの名は、女巨人シンマラと結びついて挙げられるのである。彼女は深山幽谷に住んでいると考えられている。彼女は、ロキが「下界の死者の門前で」作った槍を、九つの鍵の掛かった鉄の箱に隠している。万一この「青白い女巨人」がこの槍を借り出すようなことになれば、ミーミルの樹の金色の雄鶏は、それで打ち落とされるであろう。彼女は人間の最も近付き難い未開の森に住んでいると考えられる。

ここでは、ロキが作り九つの鍵の掛かった箱に隠されている、という明らかにレーヴァテインを指すと思われるものが、「剣」ではなく「槍」とされている。私は原文を読んでいないのでよく分からないが、あるいは原文には「裏切りにみてる枝」(ストレム)、「傷つける魔の杖」(ホランド)などという意味の単語「レーヴァテイン」があるのみで、「剣」とは明言されていないのかも知れない。これを剣とみなすのは、「戦の杖」や「たなごころの杖」、「殺傷の杖」など、「剣」をあらわすケニングの基語にしばしば「杖」という言葉が使われることをふまえた、一解釈にすぎない可能性もあるわけである※3

文脈から考えた場合、確かに槍の方が合理的だと思える点もある。オルリックはこれを投げ槍と解しているようだが、樹上の雄鶏を仕留めるには、剣よりも投げ槍の方が都合が良いだろう。槍を投げ上げて雄鶏を「打ち落とす」のである※4。ただし、近代的な合理性を基準にしてこのような神話を解釈することが果たして妥当なのか、という疑問もある。また、オルリックの『北欧神話の世界』は、訳書の出版年こそ2003年と最近だが、原著が出たのは1902年、つまり今から100年以上前である。この部分の解釈が現在でも通用しているのかどうか、素人である私にはよく分からない。

※3 : ケニング(kenning)とは、「アイスランド文学における修辞学用語で,一名詞を複合語で婉曲に表現する隠喩的用法」であり、「その基本構造は,規定語と基語の2語で1つの語を詩的に言い換えることにある」(『集英社世界文学大事典』5-p.253, 当該項目の執筆は谷口幸男)。例えば、〈地の魚〉で「蛇」を、〈海の駒〉で「船」を、〈戦いの木〉で「戦士」を言いあらわす、といったもののことである(〈地の魚〉なら、「地」が規定語、「魚」が基語にあたる)。本文中で挙げた、「剣」という意味をあらわす〈戦の杖〉というケニングは、『蛇舌のグンラウグのサガ』に(『サガ選集』p.105, 先の三つの例も同書から)、〈たなごころの杖〉〈殺傷の杖〉というケニングは『コルマクのサガ』にみられ(『スカルド詩人のサガ』p.40)、同サガには〈兜の嵐に舞う杖〉というケニングもみられる(同p.62、〈兜の嵐〉は「戦闘」のケニング)。ただし、「剣」のケニングの基語は「杖」と決まっているわけではない。『蛇舌のグンラウグのサガ』・『コルマクのサガ』・『ハルフレズのサガ』から、「剣」を言いあらわす他のケニングの例を順不同で挙げてみよう。〈戦闘の火〉、〈傷の印〉、〈盾の怪物〉、〈楯の皮ひもの相方〉、〈掌の熊〉、〈鮮血の蛇〉、〈血したたる葦〉、〈楯の炎〉、〈楯の蛇〉、〈戦闘の氷〉、〈戦闘の蛇〉、〈ヴァルキューリアなるロックの手にしたまう道具〉、〈船中の魚〉、〈傷を与える蛇〉、〈ユッグの嵐に輝く炎〉。規定語には「戦闘」「楯」「血」などが、基語には「杖」の他、「火」「蛇」などが多く使われるようである。

※4 : 余談だが、ここで私の頭に浮かんでいるイメージは、テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(放送は1995-1996年。歳を取るわけだ…)で、エヴァ零号機がはるか上空の敵に向かってロンギネスの槍を投げ上げる場面である(知らない人は申し訳ない)。剣は通常、遠距離攻撃の出来る武器とは考えられていないと思うので、レーヴァテインが剣ならば、樹上のヴィドフニルを仕留めるためには、使用者自ら木に登る必要があるだろう。それとも、ストレムらがレーヴァテインを「魔法の剣」と呼ぶのは、それが自分で樹の上まで飛んで行ってくれる、と考えていえるからなのだろうか。よく分からない。



〈ネット検索:「レーヴァテイン」〉

◇調査日:2004/09/03
◇方法:Googleで、4,285,199,774ウェブページから検索
◇対象:ヒット数約1,550件、うち上位100件を集計

項目HIT内訳
TV&PCゲームに登場する技名2221禁忌「レーヴァテイン」『東方紅魔郷〜the Embodiment of Scarlet Devil』(Win・弾幕STG・上海アリス幻楽団・2002)EXTRA STAGEに登場するボス、悪魔の妹フランドール・スカーレットの行なう攻撃名。
レーヴァテイン『Devil May Cry(デビルメイクライ)2』(PS2・ACT・CAPCOM・2003)に登場(衝撃派:本来は「レーヴァティン」かも)。
TV&PC&ネットゲームに登場する武器19神剣・レーヴァテイン『わたしのゆうしゃさま?』(Win・ARPG・MASAさん作成のフリーゲーム(RPGツクール2000ランタイム))に登場する剣(ただし装備品ではないようだ)。
レーヴァテイン『FRAME GRIDE』(DC・対戦メカACT・フロムソフトウェア・1999)、人型兵器「フレームグライド」(プレイヤーの操作対象)用のパーツ(剣)。
レーヴァテイン『アクア=エリアス』(ネットRPG・有料)に登場(刀?長剣?)。
レーヴァテイン『デビルサマナー ソウルハッカーズ』(SS/PS・RPG・アトラス・1997/1999)に登場(剣)。
レーヴァテイン『ペルソナ2 罪』(PS・RPG・アトラス・1999)に登場(剣:火炎)。
レーヴァテイン『Blaze&Blade(ブレイズ&ブレイド)』(PS・ARPG・T&Eソフト・1998)に登場(剣)。
DBW9レーヴァテイン『偽典・女神転生 東京黙示録』(PC98/Win・RPG・アスキー・1997/1999)に登場(銃・弓):ブリューナクを凌ぐ破壊力を持つ光学兵器。
レーヴァテイン『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』(PS・ARPG・スクウェア・1999)に登場(片手剣)。
レーヴァテイン『RUNE JADE(ルーンジェイド)』(DC・ネットワークRPG・HUDSON SOFT・2000)に登場(剣:騎士用のレアアイテム)。
★本家「レーヴァテイン」レーヴァテイン「スルトの剣」説採用・断定。
レーヴァテイン「スルトの剣」説非採用。
自作小説に登場する武器レーヴァテイン緑野うに氏作の自作小説のタイトル(剣の名として小説中にも登場:その昔「アスガルド」の王が黒い心から作り上げたとされる漆黒の剣)。
炎の魔剣・レーヴァテイン自作小説(『Baskerville FAN-TAIL』)に登場(剣)。
神剣・『 レーヴァテイン 』自作小説(『輝ける翼』)に登場(焔の神剣)。
魔剣レーヴァテイン自作小説(『異邦人―まほろば―』)に登場(剣)。
退魔聖刀『レーヴァテイン』自作小説(『闇の悲剣』)に登場(剣)。
レーヴァテイン自作小説(『スーパーロボット大戦Knight』:『スーパーロボット大戦』を元ネタにした二次創作?)に登場する武器。
自作小説に登場(武器以外)レーヴァテイン自作小説(『アーマードコア3』を元ネタにした二次創作)に登場するアーマードコアの名前。
レーヴァテイン自作小説(『未来は何時何処で誰の手に』)に登場(種族名か何か)。
王都レーヴァテインリレー小説に登場する地名。
Laevatain自作小説(マンガ『ONE PIECE』を元ネタにした二次創作)の題名。
サプレスの霊竜"レーヴァテイン"自作小説(『サモンナイト2』を元ネタにした二次創作)に登場する召喚獣の名前。
TRPGプレイヤーネーム・HNなどミリスレスカ・B・レーヴァテイン『ソード・ワールドPBM』(『ソード・ワールドRPG』(TRPG)のシステムを使用したPBeM(Play by e-Mail))のキャラクター名(人間の男・15歳)。
四天王 レーヴァテインBBS投稿者のハンドルネーム。
"レーヴァテイン"『ダブルクロス2nd Edition』(FEAR社製作・富士見書房発売のTRPG)をインターネット上で遊ぶオンラインTRPG『Eden'sGate』のキャラクター「波佐間 涼斗」のコードネーム。
ゲームプレイヤーによる名づけ(人外)レーヴァテイン『Eternal Land(エターナルランド)』(TRPG)に登場するキャラクター名。上級魔族が剣に封印された姿(らしい?)。漆黒のバスタード・ソード。
レーヴァテイン『Dragon Breeders』(ドラゴン育成SLG・CGIゲーム)でプレイヤーが名づけた自ドラゴンの名前。
レーヴァテイン『ダービースタリオン04』(PS2・エンターブレイン・2004)でプレイヤーが名づけた競走馬の名前。
レーヴァテイン『モンスターファーム2』(PS2・育成SLG・TECMO・1999)でプレイヤーが名づけた自モンスター(デュラハン)の名前(ただし、実際につけた名前は「レヴァンテイン」らしい)。
レーヴァテイン『パネキット』(PS・SCEI・「無限工作おもちゃ箱」と銘打ったカスタマイザブルACT(?):パーツを組み合わせてモデル(マシン)を作り、自分で操縦して様々な競技をクリアしていくゲーム・1999)でプレイヤーが作ったモデルにつけられた名前。
TRPG設定上に登場レーヴァテイン『Night Wizard(ナイトウィザード)』(TRPG)に登場する単語だが、何を指しているのか不明。
レーヴァテイン『〜神記大系〜ケイオス・アルマゲストTRPG』(TRPG)に登場。炎の巨神スルトのもつ大剣。
カードゲームに登場魔剣レーヴァテイン魔剣レーヴァテイン:『モンスターコレクション2』のカード「炎の魔神スルト」の特殊能力の名前。
レーヴァテイン『真・女神転生 デビルチルドレン カードゲーム』 のカード名(降魔伝魔装カード/拡張パック専用カード)。
10ゲームに登場(武器以外)レーヴァテインネットゲーム『TAG CITY for ADULT』に登場する競走馬の名前。
レーヴァテインRPGツクールによる自作RPG(フリー)のタイトル。
その他 レーヴァテインマンガ『聖戦記エルナサーガ』(堤抄子・作/エニックス)に登場する武器(いにしえの三魔剣の一つ:炎魔剣)。
レーヴァテイン掲示板の書き込み回数に応じてHNに与えられる称号の一つ(145 〜159 回:ちなみに1〜9回だと錆びた聖剣、430回以上がマナの剣)。
レーヴァテイン『遊戯王デュエルモンスターズ』公式カードカタログ『ザ・ヴァリュアブル・ブック7』の付録カードとして、某巨大掲示板で噂になっていたカード名(ただしデマだったらしい)。
戦艦名"レーヴァテイン"『第一次スーパーFEARゲーロボット大戦』と銘打たれたTRPGシステムの設定案に登場(某巨大掲示板)。
レーヴァテイン『FORTUNA(フォーチュナ)』(RPGツクールにより共同製作中のRPG)に登場する武器名(ただし、正確にはレーヴァティンらしい)。
レーヴァテインオリジナル格闘ゲームに「登場させたい」自作キャラクター(イラスト有)の技名。
合計100

これだけバラけたのがまず凄い。多数のゲームは引っかかるのはいつものことだが、自作小説がこれだけヒットするのは珍しいのではないだろうか。ちなみに、他のカタカナ表記での検索結果は以下のようになった(調査日は同じく2004/09/03)。

「レヴァンテイン」 667件  「レーヴァティン」 401  「レヴァンティン」 116

この結果にもとづいて、最もヒット数の多かった「レーヴァテイン」について調べたわけだが、その後、2004年9月6日に「レーヴァンテイン」でも検索したら、これも 501件引っかかった。この武器のカナ表記が、いかに統一されていないかがよく分かる。「レヴァンテイン」や「レヴァンティン」では、「レーヴァテイン」では登場しなかった『スターオーシャンセカンドストーリー』(PS・RPG・トライエース・1998)が上位ヒットしていたが、北欧神話ファンにはそこそこ有名な『ヴァルキリープロファイル』(PS・RPG・トライエース・1999)にも確か「魔剣レヴァンテイン」が出てきたはず。トライエース内では「レヴァンテイン」に統一されているのかもしれない。

話を自作小説に戻そう。そもそも、この剣の名前がこれだけ有名になったのは、「スルトの剣」とされたことが大きいだろう。クロスリイ-ホランドの再話だけでは知名度の上がる要素は何もない。レーヴァテインは、北欧神話における「ラグナロク」(神々と巨人族との最終戦争)において、世界を焼き尽くす「スルトの剣」とされることで、はじめて「世界の命運を左右する剣」というイメージを与えられ、小説の題名にまで用いられるようになったものと思われる。また、「伝説の聖剣」といえばエクスカリバーなのだが、その名は(幻想世界では特に)最早ありふれた名前になっており、オリジナリティが出ない。そんな風に思った小説書きに採用されたのが、このレーヴァテインなのではないだろうか?

ただし、この「レーヴァテイン=スルトの剣」説、明確な根拠はない。そのような神話伝承はおそらく存在せず、推論・推測の域を出ないものである。先に引用した健部の「もしかしたらこのレーヴァテンが、スルトのもつ炎の剣なのかもしれません」という一言が起源になっているのかもしれないが、健部自身も強く主張しているわけではない。しかし、もともと曖昧な神話世界でのこと。明確な根拠がないだけでは、明らかな間違いとは言えないだろうし、創作世界での話なら、どれほど話を膨らませようと面白ければそれで良い(と思う)。ただ、神話そのものを扱う神話本や神話サイトなら、「レーヴァテインはスルトの剣(断定!)」みたいな書き方をするのは、あまりに不誠実。そういう本&サイトをもし見つけたら、話半分に読むことをオススメしたい。



〈先行研究批判?:レーヴァテインとスルトの関係〉

「レーヴァテイン=スルトの剣」説の源流、健部の『虚空の神々』(1990)だと思っていたら、さらに下ったところに直接の原因を発見した(2004年11月末)。それは、Truth In Fantasy編集部『魔法の道具屋』(1992)である※5。同書から「炎の剣レーヴァテイン」に関する記述を引用しよう。

軍隊壊滅どころではない。世界をまるごと焼き尽くすという究極の武器がある。北欧神話に登場する巨人の武器、レーヴァテインがそれだ。レーヴァテインとは"害をなす魔法の杖"という意味。太陽の光よりも眩しい輝きを出して燃えている。霧に閉ざされた冥界ニブルヘイムの門前で、ルーンの呪力によって鍛え上げられた。製作者はロキである。巨人の王、炎の悪魔とあだなされるスルトが持っている。スルトの妃シンモラは、九つの錠がかかった箱でこの剣を厳重に保管している。ラグナレクでスルトが世界を焼き払う剣は、おそらくこのレーヴァテインである。(p.26)

本書がホランドと健部を参考にしたことは明らかであるが(参考文献にきちんと二冊とも挙がっている)、記述に若干の相違がある。健部が「もしかしたら」としていた「レーヴァテイン=スルトの剣」説を断定的に述べ、その上で、ラグナロクにおいてスルトが世界を焼き払う剣については「おそらくこのレーヴァテインである」として断定を避けている。簡単にまとめるなら…

  ◇ホランド『北欧神話物語』(1983)
  スルトの妃シンモラが保管している。
   
  ◇健部伸明『虚空の神々』(1990)
  スルトの妃シンモラが保管している。スルトの持つ炎の剣はこれかも?
   
  ◇『魔法の道具屋』(1992)
  スルトの妃シンモラが保管している、スルトの持つ剣。ラグナロクでスルトが使う剣はこれかも?

ここまでくれば「レーヴァテイン=世界を焼き尽くすスルトの剣」となるまで、あと一息だろう。ただ、この記述によって『魔法の道具屋』という本を責めるつもりはない。同書は、イラスト満載の明らかなビギナー向けエンターテイメント本である。その記述を「鵜呑み」にする方が悪いのだ※6。なお、先述したレーヴァテインを槍とするアクセル・オルリックの解釈を取るならば、当然の如くこの「レーヴァテイン=スルトの剣」説は成り立たない。もし、この説を本気で主張したいなら、まずはレーヴァテインが剣なのか否かを、原典に遡って検証する必要があるだろう。

※5 : ちなみに、同じ新紀元社から刊行されている、佐藤俊之とF.E.A.R著『聖剣伝説』(1997.12)には、「巨人スルトの剣」という項目があるが、「レーヴァテイン」との関係には何ら言及していない。また、山北篤監修『魔導具事典』(2001.12)には「レーヴァテイン」という項目があるが、こちらには「スルトの剣だ」という記述は欠片もない。念のため。

※6 : どうでも良いことだが、私の『魔法の道具屋』に対する評価は結構高い。それは、同書がこの手の所謂マジックアイテム、幻想の器物を集成した本・サイト(このサイトを含む)の先駆的存在なのではないか、と思うからだ。エニックスから『ドラゴンクエスト』の第一作目が発売されたのが1986年、角川スニーカー文庫で水野良氏の『ロードス島戦記』第一巻が発売されたのが1988年。日本における「剣と魔法の世界」の歴史について私はまったく詳しくないが、新紀元社及びTruth In Fantasy編集部が、1992年の段階でこのような本を企画・出版していたことに素直に感心する。


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Copyright (C) 2004-2007 Akagane_no_Kagerou
2004/09/19:初版
2004/12/01:〈先行研究批判?〉を追加、細部に加筆
2007/08/17:本文を増広、〈おまけ〉を縮小して本文に編入
2008/02/04:出典欄を修正
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